天孫降臨したニニギノミコトの歌。
妻が産んだ子供を、自分の子ではないと疑ってしまった彼。うけいによって彼の子であることが証明されたが、疑われた妻の怒りはおさまらず、ニニギノミコトは妻に会ってもらえなくなってしまった。
反省中…のような歌ですね(^^)
間もなく父になる彦火火出見尊。
せっせと準備にとりかかるが、産屋の屋根を葺き終わらないうちに、妻の豊玉姫が産気づいてしまう。
「お産の最中は覗いちゃダメよ」と釘を差し、豊玉姫はつくりかけの産屋に入っていく。
「なんで、そんなこと言うかなあ」彦火火出見尊は首をひねる。
そこで産屋を覗いてみると、中には巨大な鮫が!
「見〜た〜わ〜ね〜」
鮫がぎろりと睨みつける。この大鮫こそ、豊玉姫の本当の姿だったのだ──
夫婦のあいだに入ったヒビも何のその、子供は無事に生まれた。彦火火出見尊はびくびくしながら「子どもの名前は何にしようか」と姫にたずねる。
「あんたの準備が遅くて完成していない産屋で産まれたかわいそうな子だから、彦波□武□□草葺不合尊とでもしておけば」
言葉に険がある。姫はかなり根に持っているようだ…とか彦火火出見尊が考えていると、豊玉姫はさっと立ち上がって、
「あたし、実家の海宮に帰るわ」
「えっ、ちょっと待ってよ」
しかし、聞くような姫ではなかった。取り残された彦火火出見尊は、産まれたばかりの赤子を手に抱き、妻を偲びつつ歌を詠む。
上代歌謡では、この歌がうたわれたのは豊玉姫が去った直後ということになっています。
けれども、古事記だと、姫が彦火火出見尊に歌を送り、その返歌がこの「沖つ鳥〜」だということになっている。
思いっきり、おもしろがって書きました。ごめんなさい、彦火火出見尊さま。(蛇足ですが、彦火火出見尊は、天孫降臨したニニギノミコトの息子です。彼の歌もあります。こちら)
この訳は、実際のものと、だいぶ違います。鵜呑みにしてはだめですよっ。
補足。
お気づきかと思いますが、赤子の名前、いやに□(四角)が多いです。
漢字が出ませんでした…(遠い目)
1番目の□には、「さんずい」+「命」の下に「人」を横に並べて2つ、その右に「のぶん」
2番目の□には、「廬」+「鳥」
3番目の口には、「玄」を横に二つ並べて、その下に「鳥」
昔、なにかの本で読んだのですが…熾烈な(?)お産の光景を目の当たりにした古代男性たちが恐れをなし、「妻は鮫だった」とかいう誇張表現をして、それでこういうお話ができたのだとか。
荻原規子さんの書かれた「白鳥異伝」にも、主人公の遠子がお産の手伝いをして大変だったシーンがありました。
「覗いちゃダメよ」の禁が破られたため、別居生活中(いや、もう離婚なのかな。古代に、離婚という観念はあったんだろうか)の彦火火出見尊と豊玉姫。
みずから去っていった豊玉姫だが、やはり彦火火出見尊への愛しさが募る。そこで、妹の玉依毘売に、自分の気持ちを託した歌を持っていってもらうことにした。
またまた、だいぶ主観に走った訳を書いてしまった(汗)
彦火火出見尊が詠んだ「沖つ鳥〜」という歌があります。二人が別居することになった経緯は、こちらのほうに書いてあります。
古事記に載っている歌と、上代歌謡の歌では、ちょっと違うんですね(ここに乗っているのは上代歌謡のほう)。初めて気がついた。
古事記では、「赤玉は 緒さえ光れど 白玉の 君が装し 貴くありけり」となっています。意味はだいたい同じで、これもやっぱり彦火火出見尊の姿を追慕しています。
ちなみに、この歌を彦火火出見尊に届けた玉依毘売は、赤子の乳母になり、そして成人した赤子と結婚してしまいます。すごいですね、神様は…やっぱり不老不死なのかしら。
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