「帯壬様? 帯壬様ったら。もう――一人で寝てしまわないでくださいな」
外では太陽が真昼のまぶしい光をそそいでいたが、この部屋では窓や入り口のすべてを締め切っていた。それでも板の隙間から光が差し込み、ほのぼのと明るい。夜にも昼にも属さない、不自然な暗さの中に身を横たえ、帯壬はまどろみの中をさまよっていた。けれども、夢心地は長く続かず、帯壬は揺り起こされた。
「夢を見ていた」
「まあ、本当に眠っていらしたの。ひどいおかた」
女はつむじを曲げたが、帯壬が抱き寄せてなだめると、すぐに機嫌を良くした。
「何の夢でしたの? 夢解きしてあげましょうか」
帯壬は笑った。「遠慮しておくよ」
「隠し事をなさるの。さきほど、わたくしには何でも話すと言われたばかりよ」
「弱ったな」帯壬はしばらく物思いにふけってからつぶやいた。「つまらない夢だよ。鬼に優しくされて――喜んでいる子どもの夢」
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